
朝散歩は「うつ」にいいのか?
近年、有名精神科医youtuberが「うつ」の改善に、朝の散歩を提唱し、「朝散歩」が有名になりました。朝散歩は、日光を浴びることにより体内時計をリセットし、セロトニン(幸せホルモン)を活性化するため、うつ病やメンタル疾患の改善・予防に非常に効果的という理屈です。
やり方は、起床後1時間以内に15〜30分程度、太陽の光を浴びながらリズムよく歩くのが良いとされています。
ですが、うつ病経験者はこの治療法に違和感を感じる場合も多いのではないでしょうか?
- 「うつの時に外に出られないよ…」
- 「朝起きられないよ」
- 「着替えられないよ」
- 「布団から出られないよ」
というのが、うつ病患者の率直な感想ではないでしょうか?
精神科での実際の段階
精神科リハビリでは活動レベルを段階で考えます。
重い順
- 寝たきり
- 家の中だけ動ける
- 家の外に出られる
- 散歩できる
- 通院できる
- 仕事や学校
私もしばしば寝たきりになったり、家の中で休みながらなら料理だけはできるという状態になりがちです。うつ病患者にとって「外出」はかなりハードルの高い行為です。
ですから、「朝散歩」を提唱している精神科医は、比較的軽度の「うつ状態」、つまりレベル3や4の方々に向けて、朝散歩を提唱していると考えられます。
無理に朝散歩をすることのリスク
強い失敗体験の蓄積
重症うつの患者が朝散歩を無理にしようとすると、「強い失敗体験の蓄積」につながってしまいます。
重症うつでは
- 起き上がる
- 着替える
- 外に出る
といった行動自体が非常に困難で苦痛な動作です。
その状態で「朝散歩を毎日する」という目標を設定すると
- 起きられない
- 外に出られない
- 続かない
という結果になりやすくなります。
その結果、
- 自己否定
- 無力感
- 「自分は何もできない」という認知
が強まりやすい傾向にあります。
睡眠リズムのさらなる悪化
重症うつでは
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
などが起きている場合が多いと言われています。そのような睡眠がほとんど取れていない状態で、無理に朝活動を増やすと
- 日中の強い眠気
- 体調悪化
- 睡眠リズムの混乱
につながる場合があります。
エネルギーの過剰消費
重症うつでは活動エネルギー(精神運動エネルギー)が著しく低下しています。その状態で無理に活動すると、
- 強い疲労
- 症状の悪化
- 数日間の寝込み
などが起きることがあります。
精神科ではこれを、活動後のクラッシュ(energy crash)のような現象として説明することがあります。
「治療の責任を自分に感じすぎる」問題
重症うつでは「努力すれば治るはず」という認知が強くなることがあります。
朝散歩などの生活療法が強調されすぎると
できない → 自分の努力不足
治らない → 自分の責任
という解釈になることがあり、自分を責めすぎて「うつ症状」をさらに悪化させる場合があります。
うつ症状の治療は段階的に行う
精神科では活動量を段階的に上げるという考え方があります。「寝たきり」の状態になっている時は、体が休息を求めているのだと認めて、起き上がる気力が沸くまで、服薬をしながら横になって休息をとるのが原則です。
そして、少しでも起き上がる気力が出てきたら
- 寝たきり⇒起き上がって座る訓練
- 家の中だけ動ける⇒ベランダや庭に出る訓練
- 家の外に出られる⇒家の周りを少し歩く訓練
- 散歩できる⇒散歩に挑戦
というような順序でリハビリを進めていきます。
まとめ
「朝散歩」はあくまでも「軽症うつ」の方への改善方法で、重症うつの場合には不向きです。私自身も夫との結婚生活当初、寝込んでいる私の体力づくりに、夫が散歩に連れて行こうとしていた時期がありました。ですが、私の気持ちと体は「勘弁してよ…無理だよ…」と悲鳴をあげていました。そして、良かれと思って誘ってくれた夫に、「行けない」と言わなければいけない申し訳なさでいっぱいになっていました。
重症うつ状態の方に朝散歩をすすめると「無力感・罪悪感」で余計にうつを悪化させてしまう場合があるので要注意です。
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