私は、育児放棄であったがために、世の中の常識などを全く知らずに育ってしまっていました。だから、おそらく、18,19で真っ白な状態で野に放たれて、とりあえずはウエイトレスのアルバイトをしながら、大学に通ったのですが、まあ、本当に何にもできない人でした。
A5テーブルに持って行けと言われたコーヒーを、A3テーブルに持っていってしまったり、オレンジジュースを5杯くらいもたせると、ガクガクブルブル震えてしまって、落っことしそうになってしまったりで、
「あーーあーーあーーー、もう! 何やってるの!!」と
怒鳴る女性の先輩がいたので、余計に萎縮して、どんどんパフォーマンスは下がる一方。
今まで働いたことのない高校生上がりの私にとっては、何種類ものメニューやテーブルを覚えて、重いお料理を運ぶだけでも疲れてボロボロで、頭が回らなくて、ほんとうに役立たずそのもので、頭が真っ白になって、おろおろするばかりでした。
結局、2週間も続かず、その仕事をやめて、でも食っていかなければいけないし、大学にも通わなければいけないので、幾つかのアルバイトを掛け持ちしたていたのですが、後に務めたアルバイト先の先輩方や、上司が本当に、忍耐強い教育者で私は、ぐんぐん、仕事ができるようになってゆきました。
私自身が「私は、親がむちゃくちゃな人で、家でまともなしつけを受けていないので、常識というものがよく分かっていないので、ダメなところが多いとおもいますが、どうか、私にでも分かるように仕事を教えてください。」というスタンスで、最初に上司や経営者に話しておいたことも、少し幸いしていたかもしれません。
仕事って、そのやり方や、作業方法が体に染み込むくらいになるまでって、最低でも3年くらいはかかると思うんです。そして、全く働いていなかった状態から、仕事に慣れるまでは1年くらいは掛かると思うの。だから上司側も、部下側も1年くらいは、ただ、ただ、我慢しかないと思うんですよ。上司側は育てるための我慢。部下がわは仕事に慣れるための我慢。
私も、30代で一級の精神障害者なっていたのですが、そこから抜けて、社会復帰する際に、あちこちで作業の抜け落ちがあったけども、周囲の人達や上司がフォローしてくれたから復帰出来たという現実がありました。
復帰第一弾で、運悪く、一番最初に書いたようなヒステリックに怒る人のいる職場に当たって、まだ慣れていない時期にガミガミ怒られてしまったら、社会復帰自体ができなかったと思う。
だから、私自身が、先輩や上司っぽい立場になったときは、部下を叱責したり、怒ったり不機嫌な顔をしないようにしてるし、ミスもやんわり伝えるようにしています。
発達障害や精神障害の方を職場に受け入れるということは、上に立つ側にとっても、とてもしんどいことだと思います。だけど、悪意でミスを連発しているわけではない以上、雇い主側がうまく使ってあげるしかないと思うの。
これは私の信条として、ひとつ、持っている考え方なのですが、
「多く物の分かる側が、多く我慢するべき。」と、私は考えます。
普通の人達のように働きたくても、普通の人達のレベルで作業ができない、
そんな悩みは、上に立つような能力の高い人達にはわからないかもしれない。
私は、精神病がひどくなって、「なんで、そんなこともできないの?」という
レベルまで下がっていた時期があって、それを体験したから分かる。
もう、これは、本人の努力だけではどうにもならない。職場の理解がないと。
「なんで、こんなこともできないんだろう。わたし。。」って
どれほど、悩んだことか。本人が一番、苦しんでいるんです。
でも、結局は、「悩むより、慣れろ」でした。仕事は、下手でも訓練をしていれば、それなりの形にできるようになってゆきました。ポンコツになった自分でも頑張って働いて、働くと、もっとちゃんと働きたいと思うようになって、自分をメンテナンスするようになって、って、エンジンがかかってギアが入り始めるまでが一番つらい。でも、そこを超えれば、なんとかなる、っていうの私の感想。
もちろん、仕事ができないことを開き直ってはいけないと思う。
でも、できないものはできないし、できないときは、できないの。
私の場合は、精神病からの復帰第一弾で働いた職場では、
ミスを連発する時期も多かったので、そういうときには、
「また、私がミスを連発してすみません。」と、お菓子やらなんやらの
差し入れを、ちょくちょくみなさんにするようにしていました。
親族が亡くなったと聞けば、香典を渡したり。
そんなふうに申し訳ないという気持ちを形にして伝えていれば、
少なくとも私の場合は、精神病上がりでもクビにならずに
働かせてもらえました。
(私の場合は、精神病のみで、発達障害と診断されていないので、徐々にギアをあげていけば、普通に働けるようになりました。)
どうして、それくらいのことができないの?と思う部下や後輩がいたなら、
上司側も、しっかり、発達障害の本などをよんで、
彼らの個性を汲みとって、うまく使ってあげてほしいと、
これも、祈ることしかできないお話なのですが、ちょっと書いてみました。