良質節約生活 100万円/1年

50代、精神疾患持ちのシニア主婦ブログ。

「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督作品の考察・分析

 

初日からチケット完売

 「君たちはどう生きるか」を初日に見に行って来ました。我が家では、夫の仕事が終わってから映画を見に行かざるを得なかったため、公開当日、7月14日の午後にインターネットから席の予約を入れようとしたのですが、当日の午後の段階で、夜の部19時、20時、21時台の上映とも、前列4席のあたりにちらほら空がある程度で、ほとんど予約で満席となっていました。

 私達夫婦は、仕方なく前から2番目の席のチケットを予約しました。上映時間に映画館に行き、席に座ると席は満席で、早めにチケットをとっておかなければ、空席がなかったかもね…と夫と話していました。

豪華な声優の布陣

 まずは「君たちはどう生きるか」のすごいところの、一番ネタばれの少ない声優の布陣からご紹介したいと思います。主役の眞人役は「CUBE 一度入ったら、最後」に出演した、若手俳優「山時聡真」氏でした。

 宮崎駿監督はアニメ声優でなく、俳優陣を声優として起用することが多いのですが、今回の声優陣は、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子、大竹しのぶ、國村隼、小林薫、火野正平と、これらの俳優達を集めたなら一本の名作映画が撮れるというくらいの豪華な名優を集結させていました。

 映画館の中でも、エンドクレジットが流れる最中に、「声優すごい人ばかっかりじゃん!」という声をあげてしまう人がいたくらい、昭和の人なら知っている名優ぞろいでした。

豪華な音楽

 音楽監督には「久石譲」が起用され、主題歌は米津玄師の「地球儀」が採用されていました。久石譲の映画音楽は北野武監督なども起用しており、映画音楽の巨匠といってもいい存在です。名優たちが声優を務めているだけでなく、音楽も豪華なキャストで、映画の期待度も高まります。

豪華な制作協力スタジオ

 エンドクレジットを見ていると、制作協力に「スタジオカラー」「スタジオボノック」などの名前が見受けられました。「スタジオカラー」は言わずと知れた「エヴァンゲリオンの「庵野秀明監督」のスタジオです。また、「スタジオポノック」は宮崎駿監督が引退宣言をし、2015年4月15日、制作部の解散によってスタジオジブリを退社したプロデューサーの西村義明氏と、同じくジブリを退社した米林宏昌氏が設立したスタジオです。

 また、宮崎駿の息子、宮崎吾朗も制作に参加していることが、この映画の奥行きをより深いものにしていると感じました。

「君たちはどう生きるか」の考察・分析

 ここからは多少ネタバレ感のある内容になってしまうので、少しもネタバレを見たくないという方はここから先は映画を見てからご覧ください。

 私の感想としては、この作品は宮崎駿の「遺言(ゆいごん)」であり、息子への愛、アニメ制作陣への愛、人類愛を表現した作品に見えました。

 アニメ業界も、世界も映画で描かれていた「石の積み木」のように、絶妙なバランスで均衡を保っており、いつ誰かが、何かがその均衡を崩すかもしれない世界です。

 私は映画内で描かれている「大叔父様」とは宮崎駿氏自信を示したメタファーなのだと感じました。今やアニメ界の大御所となった宮崎駿氏は、アニメ業界の栄枯盛衰の鍵を握る一人となっている、そして、「積み木の石」状態の業界の均衡のバランスを必死に保とうとしていると感じます。ですから、Netflixなどの台頭で絶妙な立ち位置に立たされているアニメ業界の「積み木の石」のバランスを毎日微調整している大叔父様が、宮崎駿氏のメタファーなのだと感じられました。

 そして、「謎の塔」は不遇だった時代があった宮崎駿氏にとって、予期してもいなかった、空から降ってきた「スタジオジブリ」という自分の城のメタファーなのだと感じました。

 ですが、宮崎駿氏も今年で82歳、盟友だった高畑勲氏はすでにお亡くなりになっています。宮崎駿氏は、後に続く息子「宮崎吾朗」氏、「スタジオカラー」「スタジオポノック」などに「積み木の石」の管理人をやってほしいとも思っていると思います。

 ですが、映画の最後の最後のシーンでは、「ここで積み木の管理人をやってもいいし、友達と一緒に元の世界に戻ってもいい。」と大叔父様は主人公の眞人に言います。本当は、アニメ業界の均衡を守るために、後続のアニメ監督、プロデューサー、アニメーターなどにアニメ業界の未来を担ってほしい…。そう思いつつも「友達と一緒に帰ってもいい。」、つまり「君たちはアニメ業界の呪縛から解放されてもいいんだよ。」「もう、宮崎アニメから自由になっていいんだよ。」と、自らの死を意識したおじいちゃんが後続の若者たちにメッセージを放っている、そのように見えて、とても感慨深いものがありました。

 また、「積み木の石」は地球の自然環境や生態系のメタファーのようにも見えて、君たち若者は、地球環境や地球の生態系のために活動してくれてもいいし、そんなことは意にも介さず周囲の友人たちと身近な幸せを楽しんでもいいんだよ、と柔軟に温かく若者たちの生き方を肯定しているようにも見えました。

 やはり、宮崎駿氏の82歳の年齢を考えると、アニメ業界にも、世界にも「遺言」を残そうとしたのではないかと感じました。若者よ、君たちには選択肢がある、どちらを選んでも私はもう口出しはしないよ、君は君自身で自分の人生を選べるんだ、と頑固ジジイだった宮崎駿氏が、自らの死を意識したがゆえに、自分の頑固さを曲げて、若者たちに柔軟であろうとする姿に、自然と涙が出てきてしまいました。

まとめ

 「ゲド戦記」、「コクリコ坂から」などを息子「宮崎吾朗」氏が監督した際には、駿氏と吾朗氏は非常に仲が悪かったと言われています。それは、宮崎駿氏の才能がゆえの頑固さ、こだわりの強さからくる確執であったと、下記の動画からもうかがえます。

 そんな、頑固ジジイの宮崎駿が「大叔父様」の姿を借りて、「君たちは、(宮崎アニメの呪縛を離れて)、自由になってもいいんだ。」というメッセージを放ったことは、やはり、自らの死を意識した一人の父親の息子への「遺言」のように思えてならないのです。そして、その「遺言」は息子のみならず、「スタジオカラー」「スタジオポノック」なども含めたアニメ業界の全ての人々、しいては人類全体に向けられているのではないかと感じた次第なのです。

【関連動画】

www.youtube.com

★応援クリックしていただけるとうれしいです★

 ↓ ↓ ↓

にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

【PR】